今から約90年前、北海道の礼文島を恐怖に陥れた謎の病・・・こそエキノコックス症です。
お腹が異常に膨らみ、肝臓に袋状のものが…。
そして、最悪は死に至っていくという恐ろしい病です。
このエキノコックス症とはどのような病なのでしょう。
当時、北海道礼文島の出身者のみが相次いで発症していましたが、最近では愛知県での発症も報告されているそうです。
今回は、
についてお伝えします。
礼文島の謎の病・エキノコックス症とは?
礼文島の謎の病・エキノコックス症とはエキノコックスは寄生虫の1種です。
ヒトへの感染経路
エキノコックスの成虫は犬、キツネ、猫などの小腸に寄生しています。
礼文島ではキツネに寄生していたと言われてます。
卵の状態でキツネの小腸に寄生しており、 キツネの糞便ととも排出されます。
この排出された卵がヒトの体内に入り、幼虫になり寄生します。
キツネの糞便に混ざった卵がどのようにヒトの体にはいるかというと・・・
糞便に汚染された山菜や沢水を口にすると感染の可能性がありますね。
ヒトに感染した時の症状は?
エキノコックス症は感染してから自覚症状が出るまで数年から10数年かかります。
知らない間に感染していて気づかない間に悪化してしまうのです。
体内で幼虫になったエキノコックスは肝臓に寄生し、肝機能障害などを引き起こします。
潜伏期→進行期→完成期と症状は分かれており、潜伏期は症状がありません。
進行期にの膨満・不快感などの不定症状がでます。
そして、完成期には肝機能障害が起こり、腹部症状の増強、発熱、黄疸などの症状がでてきます。
治療方法方は?
エキノコックス症の治療方法としては薬物治療もありますが、現在のところ有効な治療の方法はありません。
手術で切除するしかありません。
礼文島出身者がエキノコックス症と診断された経緯は?
エキノコックス症が最初に診断されたのは1936年(昭和11年)。
小樽在住の28歳の女性でした。
その女性は食後の上腹部膨満感があり受診し、そこでそこで肝腫瘤を指摘されます。
彼女は礼文島の出身で生まれてか20年礼文島で過ごし、1929年(昭和4年)に結婚し小樽に来ましたが、結婚後は一度も礼文島には帰っていないため、感染したのは1929年以前になります。
続いて、礼文島船泊村在住の26歳の女性、礼文島出身の23歳の男性、礼文島香深村在住の43歳の男性と礼文島出身者の症例が相次ぎ、エキノコックス症と礼文島との地理的関連性について注目されるようになりました。
なぜ礼文島にはエキノコックスに寄生されたキツネがいた?
礼文島出身者が相次いでエキノコックス症と診断されました。
1924年(大正3年)、礼文島では野ネズミの大量発生の対策として、千島列島中部の新知島から12つがいのベニギツネが持ちこまれました。
野ネズミ駆除とベニギツネは毛皮としての収益も生み一石二鳥でベニギツネは礼文島でどんどん繁殖していきました。
このベニギツネがネズミのエキノコックス感染率が50%を越えるような地域に生息していたことから、礼文島にエキノコックスが持ち込まれたという説が有力のようです。
礼文島の謎の病・エキノコックス症が近年、愛知県でも確認
エキノコックス症は元々北海道礼文島出身者を中心に感染が確認されましたが、1980年代には北海道全域で感染が広がりました。
北海道では、今でも毎年10数名の患者が見つかっています。
ところが、愛知県でもエキノコックスが相次いで確認され、国立感染症研究所が「知多半島内で定着した」という報道がでていました。
愛知県でエキノコックスの感染が確認されているのは全て犬。
野犬です。
なぜ、愛知県知多半島内の野犬にエキノコックス症が確認されているかはわかっていませんが、「愛知県は犬におけるエキノコックス症の発生に伴う注意喚起について」を発表しています。
エキノコックス症に感染しないためには?
エキノコックス症に感染しないためにはエキノコックスの卵が口に入らないようにすることです。
- 野山に行った後よく手を洗うこと。
- 野犬を含む野生動物に触れないこと。
- 川や沢の生水を飲まないこと。
- 山菜などはよく洗ってから食べるか加熱をすること。
エキノコックスの卵は熱には弱く、煮沸すれば卵を殺すことができます。(北海道HPより)
まとめ
北海道の礼文島を恐怖に陥れた謎の病・キノコックス症について、感染経路や症状、治療法などについて調べてみました。
北海道だけでなく愛知県でも野犬への感染が確認されていました。
自覚症状がなく進行が進んでいくという恐ろしい病。
基本的な感染対策で予防したいですね。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。